土本基子さんからの応援メッセージ

一味違った原発映画である。(監督の加藤鉄さんは、原子力施設に反対して、六ヶ所村から立ち退きを拒否し続けた故小泉金吾さんに肉薄した「田神有楽」(2003年)を作っている。
そのあとも、青森県平内町に住み反原発運動を続けて来た。
前作の、小泉金吾さんへの惚れ込みようと取材の深さに驚いたものだが、今回もそれが十分にみえる。
飯館村と川内村の古老たちの話は、土に生きる智慧と工夫に溢れていて面白く、思わず話に引き込まれ、笑いさえ誘う。
また獏原人村の住人の正気の声音に私は心地よく目を開かれた。
そしてラストシーンの蛍の群棲地に佇む女性の澄んだ声が、草木をゆする風の音とともにいまも耳から離れない。
心にしみいる映画である。
ぜひ、多くの方にこの映画の時間に浸ってほしいと願っている。